３ ザンスカール縦横断トレッキング―初めてのトレッキング
いずれ山に登れなくなる、その時まではトレッキングしないと考えていた。
しかしザンスカール山脈は登れない、縦走などできるわけがない、歩くしかない。
参考書を読み,Neo-Ladakhの知恵をお借りし、9日間とした。
インダス河を北上し、ザンスカール川との合流を見、
さらにカルギル・スカドゥ・ロードを北西に走り、途中これを離れて南下し、
ザンスカール山脈の核心部Phtoksarに至る。ここからトレッキングが始まる。
6泊6日のトレッキング終了後、ザンスカール川の橋梁を対岸に渡って、
ここから車でPadum, Kargilに2泊し、
3日間かけて再びカルギル・スカドゥ・ロードを今度は南西に走り,Stokに戻る。
ラダック、ザンスカールを一周することになる。
6泊6日のトレッキングについては、コースについてはほとんど選択の余地がない.が、
cs(キャンプサイト）の選定により日数に変化を持たせることはできる。
方向はほぼ南北に縦断であるが、東から入り、西に抜けるので、横断することになることから、
縦横断としている。
チームの編成はNeo-Ladakhにお願いした。
経営者のワンボさん、ガイドのソーナムさん、コックのゴンボさん、ヘルパーのセーペルさん、
馬方のプンチョさんと馬5頭(うち1頭が仔馬を連れている)である。
車2台を借り上げる。
（２） 実行
14日 ザンスカール山脈の核心部へ車で移動する
15日 ザンスカール山脈を歩き始める
16日 SenggeLa Pass(5000m)を越える
17日 Lingshed を通過する
18日 HanumaLa Pass(4720m)を越える
19日 ザンスカール川に達する
20日 歩き終わる
21日 ヒマラヤ山脈西端に沿って走る
22日 周回を終え、Stokへ帰る
（３） 評価
まず、いいところを歩くことができた。
・ザンスカール山脈の山容は多様であり、トレッキングでなければ味わえない。
悠然とした山容、高い山・峠と深く鋭く切れ落ちる谷、 奇観の岩峰と岩壁、点在する放牧地と大麦畑が織り成す景観は、
世界有数のものではないだろうか。加えて峠を登り降りし、路を回り込むごとに突然に新たな景観が
展けるのは、トレッキングでなければ味わえないものである。
・誰がどのようにして村を拓いたのであろう。
ザンスカール川を渡り,ParfiLa Passに立ち、Lingshed Bowlを初めて見た人は、
どのようにしてそこに至り、そこを生存基盤とできると考えたのだろうか。不思議である。
また、現在でも社会に通じる道路までは危険な山道を数日も歩かねばならないところに住み続けるのであろう。
「凍れる河」の世界はまだ在る。
次に、心配していたが、体調が良く、歩き通すことができた。
・出発1ヶ月前から医師の指導のもと食生活の改善に取り組み始めた。例えば油で揚げた・炒めた料理は駄目、砂糖・
牛乳・乳製品は駄目、小麦食も駄目と厳しく、体調が維持できるかどうか心配した。
ワンボ夫妻に特別の配慮をいただいたおかげで、ほとんどのものを、それもXより多く、いただくことができた。
・高度順化についてはすでに述べた。
これまでの低下傾向を反転させただけでなく、これまでになく順調であった。何しろ5000mのUBCで走って支障を
生じなかった。
・歩き通すことができた。
当初は、初めてのトレッキング体験でもあり、SenggeLa Passまで行けないのではないかと心配したが、
ガイドのソーナムさんやXに遅れることなく歩き通すことができた。
また、ザンスカールについて知ることができた。
・ガイドのソーナムさんはザンスカールの出身で何度もガイドしている。その情報を歩きながらワンボさんを介して
聞くことができた。
さいごに、広く知られ、多くの人がこの地が訪れることを期待したい。
・すでに述べたように、行き交う人が極めて限られていた。
長い所要日数と難路のためであろう。道路の開設はKiupaLa Passまで伸びているが、
ここから先は極めて難工事となることであろう。またザンスカール川に出てからLeh,Stokに周回するに3日を要する。
これでは限られた人しかザンスカールを愉しむことはできない。
・ザンスカール・ショート・コースを創る。
既開設の道路を十分に活用し、馬でなく車(ピックアップが良い)を利用し,drivingとtrekkingを併用し、
1日目 Photksar泊
2日目 SenggeLa Base泊
3日目 KiupaLa Passまで往復
4日目 Stokに戻る
と、ザンスカールの核心部を愉しむことができるうえに、この間には難路がない。
すでにワンボさんは構想が出来上がっているようである。
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(平成29年8月12日 記）