若いとき仕事で折衝して以来お付き合いしていた今は故きＹさんが、遠路を新鮮な魚をもって山小舎を訪ねられた。二人で火を囲み、酒を飲みながら山小舎に名をつけようということになり、その場の感じから"山花開"と即決した。李白の詩「両人対酌して山花開く、一杯一杯復一杯、我酔うて眠らんと欲す卿旦く去れ、明朝意有らば琴を抱いて来たれ」から借りたものである。

　 普通の家の代わりに山小舎をもったことから私たちの日常的生活は広がり、多くの愉しみを譲成してくれている。また非日常的な山行も自ずと再開された。晩年になってこれら二つを得たことを幸いに思うし、これが長く続くよう愉しみながら体を動かしていきたいと願っている。

　 これら二つは多くの方々による応援の賜で、まことにありがたく思っている。山小舎の整備も一段落したので、資料を整理することとし序に本編を起こした。
　 家内のスケッチと写真（一部は友人のものを無断で借用している）を加え、「アコンカグア登山記録」とあわせて、ＩＴに優れた、ＳＹさん、ＳＧさんに編集、電子化していただいた。さらに、この道のプロのＫＮさんに手を加えていただき、画像が美しく、また読みやすくなった。記して謝意を表する。

（平成14年1月）