北八ヶ岳は南と異なり森林が豊かで、白駒池、雨池、七ツ池、双子池、亀甲池と湖に恵まれている。また北に行くほど雪が多く、林間や凍結した池で各種のスキー、スノーシュー、ソリなどが楽しまれている。
　スキーのできない私は、動物やその足跡、雪の造形などを見ながら、よく一人で歩いている。大抵はラッセル泥棒を決め込んでいるが、北横岳と蓼科山の間のように人が入らないところでは、ときどき腰まで潜るラッセルに苦労することとなる。

　30余年前ヨーロッパで開発されたアイス・クライミングが近年日本でも盛んになり、赤岳鉱泉の周辺のゲレンデが賑わっている。この技術を活用すると、冬季に凍って安定する岩稜の登攀が比較的容易になる。アイス・クライミングの訓練はまだ入門段階で、ヴァリエーション・ルートもわずかしか経験していないが、なかなかおもしろい。これは年令が高くなってもやれるようだから、しっかり訓練を受け、赤岳や横岳の各ルートに案内してもらおうと考えている。