グランド・ティートン > 1.発端・計画・変更

1.発端・計画・変更

(1)Fort Collins,Colorado

 若い時に遊学したColorado State UniversityのあるFort Collinsに私たちは特別の郷愁をもち、
配偶者はsummer sessionを受講したい、その間に私はFort Collinsを拠点にレンタカーを借り、
かつて麓から眺めるだけだったアメリカの山々をゆっくり歩いてみたいと長く願っていた。

候補はコロラド・ロッキーのフォーティーンナーズ(14,000ft以上の山が53座ある)をはじめ
グランド・ティートン、ジョン・ミュアーズ・トレイル、マウント・レーニア等いくらでもある。

以下は45年ころ前の写真である。



               グランド・ティートン


                        コロラド Longs Peak


                        コロラド Maroon Peak

(2)山なかまシリウス
 
 友人等に声をかけていたところ、山なかまシリウスのなかでアメリカに関心がある者が集まり、
手造りの山行の検討が始まった。
 これは別途報告されているように終始愉しいもので、これを加味し(1)を検討することとした。

(3)計画

 アメリカの山行に不可欠なレンタカーの運転は、劣化を考えると今が限度である。また歩きたい山が
まだ他国にあるので、アメリカを何度も訪ねることは期待できない。
 いろいろ迷った末に次のように計画した。また配偶者はデンヴァー往復は一緒である。

@グランド・ティートン国立公園(山なかまシリウスの会山行)

620日 成田発、デンヴァー経由Jackson Hole着、モーテル泊
  21日 BC設営、食糧・装備買い出し
   22〜24日 Death Canyon, Alaska BasinCascade Canyonの各trail をトレッキング、
      
Static Peak(11303) 登頂、Albright Peak(10552)登頂
  28〜30日 Grand Teton(13770) 登頂
       (この間露営)
73日  モーテル泊
  4日朝 山なかまシリウスと別れる。

Aコロラド・フォーティーンナーズ(単独)

74日 コロラド州Fort Collins ホテル泊
  5〜7日 Longs Peak(14,255feet) 登頂
  8〜10Maroon Peak(14,156) 登頂
  11〜13日 Mount Sneffels(14,150) 登頂
         (この間露営)
  1415日 ホテル泊
  16日 デンヴァー発
  17日 成田着

 なお、@は「シェーン」の、またAは最近リメーク版が出た「勇気ある追跡」の舞台であり、
その美しい風景は目に焼き付いており、再訪をより愉しいものとした。


(4)難易度

@高度障害
  まずトレッキングから始め、高度も高くないので、順化するだろう。

A岩登り技術
  グランド・ティートンで5.4 (部分的に5.6)
  コロラド
FuorteenersではClass3以下のルートを採るので「walk-ups」、
  「
scramble」の範囲で,technical climbs」ではない。
   しかし、
   ア、道しるべが無いので、ルート・ファインディングが難しい。
   イ.固定ロープ、鎖、残置支点が無く、かつトレッキング・シューズなので、
   
scrambleが難かしい。

Bミックス 
  まだ相当に雪が残っており、アイゼン登降とアイゼン着用しての岩稜歩きがある。

C負荷
  3日間露営で移動する。ポーターがいないところなので、
  約
23kgの負荷に苦労するだろう。

D生活
  遵守事項を習得し、環境保全に最大限努める。
  長期間の、かつ自前の露営生活になる。

(5)トレイニング

@負荷
  例により半年間にわたり毎日19〜23kgの負荷をかけ、約1時間歩いた。

A技術(岩場)
 湯河原幕岩で4回、広沢寺で1回、日和田山で1回行った。
 scrambleを前提にトレッキング・シューズで、通常のclimbingに加え、
 グランド・ティートン登頂に備えての チムニー登攀、ナチョラルプロテクションのセット、
 岩巻きつけ支点のセットである。

B技術(雪)
 谷川岳土合の雪渓で、スタンディング・アックス・ビレー、スノーバーによる支点のセットを
 重点に行った。


(6)計画変更

 到着2日目に訃報が入り、配偶者はすぐに、私は計画の@の終了を待って帰国した。
配偶者孝行するつもりが、配偶者に親不孝させてしまい、素晴らしい環境に浸かりながら
気の晴れぬ10日間であった。

 本稿は、以下グランド・ティートンのみの報告である。


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